THE GREEN KINGDOM『Expanses』

デトロイトから着実に作品とキャリアを重ねるMicheal Cottoneのソロ・プロジェクトThe Green Kingdomの新作が届いたが、順当なリリース・ペースと基本、アンビエント・ミュージックからポスト・ミニマル、フィールド・レコーディングを取り入れた基本姿勢は…

「景気」という気分

「祖父母と孫を狙ったポジショニング戦略」について具体的に担当者やセミナーで何度も聞いたことがありましたが、その祖父母=高齢者層でも当たり前ですが、富裕層とそうではない層、中間層があり、今など介護付きマンションなど当たり前に億を越えるのもあ…

little by little to pass the baton

過労を抱える人たちの一様の理由は、「上意下達の難しさ」と言う。その人しかできない仕事が増えるほどに、しかも、抽象的に頭脳労働と呼ばれることが増えるほどに、どんどん用役は加算される。ポスト・フォーディズム以降、極端にシステム化された単純労働…

【REVIEW】LILLIES AND REMAINS『LOST』(Fifty One)

結成当時から、不思議なほどに課されたバンド内の独自のストイシズムと自身たちの美学を護り続けるバンドと思っていたが、やはり、ドレスコーズ的な佇まいがこの日本では大きな範囲ではクールに受け入れられず、ゴシック的に、またはポスト・パンク、ニュー…

Re think as like Paul Pelliot

僕なりに考えて出した答えの中に 君だって何だって いつまでも紡ぎたいんです最近、悲しい夢ばかり見る。起きて、それが夢で安心したりもするほどに。現実そのものもそれほど美しいことばかりではなく、込み入ったことばかりだけれど、パーカーやコートのポ…

経済学的に想うこと

例えば、一般公開講座で「経済学入門」なんて受けましても、相変わらず需要・供給曲線がどうこう…なんてことをやっていますし、それは悪くないのですが、問題ないとも思います。そこで、「グローバル経済化が進捗する中、経済の新しいパラダイム・シフトが希…

CODE LINE

無精髭でボサボサの髪をコーディネイトしてもらったあと(HAIRCUT 100)、この数日はあれこれあった。そこで、「コード」のことばかり考えてもいた。「スーツを着て真っ当な格好をしている」 「小綺麗な格好をしている」 のが汎的には「正」であるとされてお…

For A Tomorrow

参考までに、日本の借金時計というものがあります。http://www.takarabe-hrj.co.jp/clockabout.html1,000兆円近くに進みながら、昨年の3月末時点で総務省が住民基本台帳に基づきます日本の総人口は1億2,639万3,679人と4年連続減少し、いわゆる、生産年齢人口…

今、なぜUSで『OK COMPUTER』なのか

もはや、映像学的に、監視カメラで張り巡らされた映像群の中で、手ぶれ込みのハンディカムの映像、8mmビデオ、高精度化したスマート・フォンの映像、それらの総合的なリミックス・ワーク的な「映像美」的な許容幅が増えましたのは、その映像を録っている当事…

星野源 ―ひとつになれない世界で、差異を生きること

今は亡きライター、編集者の川勝正幸氏が2010年に発売された彼のソロ・ファースト・アルバム『ばかのうた』のブックレットに寄せました取材、文章があります。そこで出てくる印象的なものは、ジャズ・ピアノがある家で、しかし、ビル・エヴァンスのようなモ…

インテリジェンスの多寡

日本ではまだ誤解釈が多いですが、「インテリジェンス」というものがありますが、要は「情報を切り分ける能力」と強引に対象化して良いと思います。 今や、いつかにH・G・ウエルズ『タイムマシン』で描かれていましたような「美麗で知的ながらも脆弱な地上族…

序文:「そういえば、ランチに行こう」

始まりますと、もう始まりますので、これは序文です。連載を受け持たせて戴くようになりまして、初めてのグルメ・エッセイという冠詞ですが、あの、ミシュランはタイヤ・メーカーなのを知っている方もおられるとおり、給油のためのガソリン・スタンドがセル…

【REVIEW】SUN GLITTERS『Scattered Into Light』

昨日に無事に日本盤がリリースされたということで、光栄なことに日本のリリース先、AYさんのレーベルHP(http://www.anay.jp/ay/ay033/)にも簡易な拙文が載っていますが、追補版をここに。気になった方は是非、試聴でもしてみて下さい。***Sun Glitters…

異言語習得の作法

新年ということで、新たに何かを始めようという方もおられると思いますので、例えば、異言語勉強の軸たるものを今回は。私もそんなに堪能な訳ではないですし、CNNやBBCのTV番組を観ていていましも、内容は理解るほどのレベルで、TOEICは800くらいなのでそん…

Good-bye 2013,

今年、最後の更新なので、雑記的に軽やかに。あとで、この年が変わり目だったな、ということはわかると思うのですが、今年、2013年もそういう空白期間にして過渡期的な一年だったような気がします。アベノミクスや法改正、または市場変化、国際経済のパワー…

文脈の再接続

この前、たまたまTVのニュース番組を観ていたら、有名なコメディアンがある事件にふれて「努力したら報われる、夢は叶うって教育は良くないと思うんだよね。成功者なんてごくわずかでさ、成功しても色々あるし。」みたいなことで、首肯できるところがあった…

私的ベスト経済書10冊 2013

とりあえず、年の瀬なので、ブログ用に個人的に佳かった経済書を10冊ほど。一般的には選出されております、アベノミクス関係は玉石混淆なので、省きました。基本的に、グローバリゼーションがもたらす整合性と選択可塑性などについて興味深いものが多かった…

today is always future,

世界の政府総債務残高(対GDP比)ランキング http://ecodb.net/ranking/imf_ggxwdg_ngdp.html瞬雪が舞う京都で、ふと意識が遠のき、気が付けば、病院に居て、呼吸器をあてられていた。過労によるパニックらしい。すぐに治った。ずっとぼんやり夢の中で幸せな季…

Musipl(2013年寄稿纏め−1)

Musiplという音楽情報サイト(http://www.musipl.com/index.html)に寄せましたテクスト群です。年内には100本に達する中、50本目からバランサー的に色んな方を紹介してきましたが、90年代から活動をしている、ソロ・アーティストみたいな自分の中でのルール…

成熟化と慣れ

いつも言葉は曖昧で、規制が掛かっている。その規制は内側でリライトされて、外側から覗き込もうとすると蒸発してしまう、そんな儚さもあって、この1年ほどでなにが変わったのか精査していると正直、落ち込んでしまう。なにかしらの仮想敵を作って叩いて潰す…

くるり「最後のメリークリスマス」によせて

『坩堝の電圧』の「glory days」は本当に、大事に唄われた7分半の曲だった。「ばらの花」と同じ福島県いわき市薄磯海岸で撮られながらも、全く違った光景。くるり自身の轍を刻んだ幾つものオマージュ。その後のライヴでもハイライトを占める重要な意味を占め…

Snowy Emptiness

過去とは所有者の贅沢だ。過去を整頓しておくには、一軒の家を持つことが必要だが、私は自分の身体しか持たない。 (サルトル『嘔吐」より)ずっと自分を駆り立てていた衝動みたいなのはこの数年、何だったのだろうか、と思う。きっと、申し訳ないという気持…

アルパカが飼えるころには、便りを出すよ

今年の京都音楽博覧会のくるりのセット・リストは穏やかに波打つように、柔らかく胸に響いた。「Remember Me」を真ん中に置きながら、「キャメル」や「ばらの花」などのゆっくりしたテンポのものが選ばれ、定番的な「京都の大学生」や少しファストな曲を敢え…

「当たり前」を考え続ける難しさ

義務教育は、「義務」であって、ある種の強制性を帯びます。文部科学省の教育基本法第4条に記されているとおりで「国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」そして、九年の普通教育とは、「通例、全国民に共通の、一般的・基礎…

My Private Best 30 Discs 2013

今年はいつになく多くの、世界中の音楽を聴きながら、なぜか振り返ってみますと、穏やかで凪のような作品群を好んでいたような気がします。移動中や少しの作業の合間に、また、ライヴで触れる音楽にも自然とそういった優美なものを求めていたのは、何だか狂…

【REVIEW】Motohiro Nakashima『雨がやんだから、公園へ行くことにしよう』(november)

現代の「うたもの」は、いつかのジム・オルークの『ユリイカ』を経由して、トクマルシューゴ的なトイボックス・ポップと交錯するのかもしれず、『In Focus?』の初回限定盤の99種の楽器フレーズを付けたボーナスCDでの隙間を縫うように、ほんの6曲には夏の夕…

【REVIEW】Ulises Conti『Atlas』(Flau)

編集盤というと、どうにも簡易な手引書、入り口という意味が強く、ダイジェスト的になってしまうことが多い。それでも、そこからアーティストを深く知ろうとし、オリジナル作に降りてゆく契機にもなる。アルゼンチンのウリセス・コンティは汎的なアルゼンチ…

【REVIEW】Nils Frahm『Spaces』(Erased Tapes)

ハウシュカ、コリーンなどポスト・クラシカルと呼ばれる枠の中で捉えられていたアーティストの近作がポップスの造型に則ったものになっていたように、どちらかというと、現代音楽の中でもオルタナティヴなアティチュードを持った方が多いが、主に、ドイツ、…

【REVIEW】Juana Molina『Wed 21』(Crammed Discs / Hostess)

教育学者の里見実の『ラテンアメリカの新しい伝統 ―「場の文化」のために』(晶文社)にはこういう箇所がある。ラテンアメリカの新しい伝統―「場の文化」のために作者: 里見実出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1990/07メディア: 単行本この商品を含むブログを…

【REVIEW】Jensen Sportag『Stealth Of Days』(Cascine)

テクノ・ノワールとでもいえるような、深い霧の中で落ちてくる鳩たちや青い影が横切る、ジェンセン・スポータグの06年以来となる、待望のフル・レングス、セカンド・アルバムが届いた。ジェンセン・スポータグとは、オースティン・ウィルキンソン、エルヴィ…