2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【REVIEW】Ulises Conti『Atlas』(Flau)

編集盤というと、どうにも簡易な手引書、入り口という意味が強く、ダイジェスト的になってしまうことが多い。それでも、そこからアーティストを深く知ろうとし、オリジナル作に降りてゆく契機にもなる。アルゼンチンのウリセス・コンティは汎的なアルゼンチ…

【REVIEW】Nils Frahm『Spaces』(Erased Tapes)

ハウシュカ、コリーンなどポスト・クラシカルと呼ばれる枠の中で捉えられていたアーティストの近作がポップスの造型に則ったものになっていたように、どちらかというと、現代音楽の中でもオルタナティヴなアティチュードを持った方が多いが、主に、ドイツ、…

【REVIEW】Juana Molina『Wed 21』(Crammed Discs / Hostess)

教育学者の里見実の『ラテンアメリカの新しい伝統 ―「場の文化」のために』(晶文社)にはこういう箇所がある。ラテンアメリカの新しい伝統―「場の文化」のために作者: 里見実出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1990/07メディア: 単行本この商品を含むブログを…

【REVIEW】Jensen Sportag『Stealth Of Days』(Cascine)

テクノ・ノワールとでもいえるような、深い霧の中で落ちてくる鳩たちや青い影が横切る、ジェンセン・スポータグの06年以来となる、待望のフル・レングス、セカンド・アルバムが届いた。ジェンセン・スポータグとは、オースティン・ウィルキンソン、エルヴィ…

【REVIEW】工藤 鴎芽『Blur & Fudge』

《何も怖くないさ 今でも日常に在るんだから》 (「「Biology」)悲痛でマッドな叫び声から始まり、ノイズに掻き乱されてゆく。個人的な極限の心理恐慌はこんなものなのではないことは、僕は先ほどのフィリピンでのちょっとした災厄の中、巻き込まれた際の「…

「楽園なき経済」について、またはパイロット版

来年1月からある媒体に経済コラムを打診されまして、受けようと思っているのですが、まずはパイロット版として。このコラムは自身のフィールドに基づいた上で、経済至上主義がもたらす現実をときに数式やデータを入れて、進めるものです。***「楽園なき経…

星野源「地獄でなぜ悪い」によせて

いつも窓の外の 憧れを眺めて 希望に似た花が 女のように笑うさまに 手を伸ばした―手を伸ばしたが、届いたのかは分からない。一度、病気で倒れ、復帰しての『Stranger』というアルバムに周囲ほど自身が乗ることが出来なかったのは少しサウンド以外もデコラテ…

about Musipl etc.

京都で生まれた訳でもなく、外部からふとした契機で基本は「学び処」として京都に関わることになり、付かず離れずながらも、何かしら甘やかせてくれたり、厳しくしてくれた場所になってしまいました。もう無くなったしまった景色や居なくなってしまった人た…

0.8秒と衝撃。『NEW GERMAN WAVE4』

スティーヴ・ライヒの1971年に発表した『Drumming』 はアフリカ音楽のポリリズムに影響を受けているが、前年にガーナ大学にてドラミングの研究に勤しみ、3拍子をベースにパーカッションの幾重ものトランシーな反復、ズレ、そこから旋律への回帰の中で、ミニ…

Jubilee ent

今回の僅かな四国旅行では、過ぎゆく季節の楔に変わるような、そんな日で、行き当たりばったりながらも、普段、忙しくて忘れてしまいがちな感覚を取り戻すような逆光で眩しいフロントガラス越しに見える夕陽が沈む叙情と、風景自体の優しさに気付かされた。…

「街の灯」について

まだ来月分がありますので、それも楽しんで戴ければ幸いですが、現在、上野三樹さんのサイトYUMECO RECORDSさまで今年から毎月更新で、紀行エッセイというには、大層ですが、細々と過去に私が行ったことがあります国や都市のことに絡めて、文字、想いを綴っ…

窮鼠、猫を噛めるための言語速度

《ごめんなさい、大学に行かしてもらって なんにもせずに五年! 輝いていたあの頃と悪い意味で俺は変わってない》 (「キャベツ」)***2012年度の内閣府の「若者雇用を取り巻く現状と問題」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiwa/dai7/siryou1.p…