2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

スピッツ『小さな生き物』によせて

《正義は信じないよずっと 鳴らす 遠吠えのシャッフル》 (「遠吠えシャッフル」)この数年のスピッツを取り巻く状況は順風満帆なものばかりではなかった。2012年のスペシャル・アルバム『おるたな』(http://cookiescene.jp/2012/01/universal-1.php)はあ…

【REVIEW】COLLEEN『The Weighing Of The Heart』

トム・ヨークやビョークが称賛したアイスランドのオーラヴル・アルナルズもそうだったが、エレクトロニカ、IDM以降に古典的な音楽を混ぜ込んだ、いわゆる、ポスト・クラシカルとは現代音楽の幸福な実験過程であり、その過程の「生成」途上において巻き込まれ…

【REVIEW】VAN DYKE PARKS『Songs Cycled』

そして、「孤独」に戻る。フランツ・カフカの未完たる『アメリカ』は、主人公たるカール・ロスマンも自身を実質上、彼を監督する人間に振り回され、入れ子的な構造に巡り、放たれるのは自我という不安定さ、であり、未然の決意である。「アメリカ」は非/完…

【REVIEW】sonicbrat『Stranger to my room』

昨今のニューエイジ、ポスト・クラシカルと呼ばれるカテゴリーでもないが、そういったジャンルはよりエレガントになってゆき、もはや、アート的な要素をどんなジャンルよりも交叉させており、その貪欲さも面白い。現代音楽やミニマル・ミュージックといえば…

『風立ちぬ』―ロマンの鈍い意味

宮崎駿という作家としての業と、その商業的・芸術的評価の乖離はよく考える。例えば、ナウシカの原作の漫画を読んだときのマッドに振り切れた救いのなさ、それは手塚治虫が「ヒューマニズムの人」とある側面で称されようが、生命の極北とそもそも、虚無をあ…

Yosi Horikawa『Vapor』―ゼロではない生々しさ

寄稿させて戴いたのを、ここに転載しておきます。***冬の朝が晴れていれば起きて木の枝の枯れ葉が朝日という水のように流れるものに洗われているのを見ているうちに時間がたって行く。どの位の時間がたつかというのではなくてただ確実にたって行くので長…