2013-01-01から1年間の記事一覧

Good-bye 2013,

今年、最後の更新なので、雑記的に軽やかに。あとで、この年が変わり目だったな、ということはわかると思うのですが、今年、2013年もそういう空白期間にして過渡期的な一年だったような気がします。アベノミクスや法改正、または市場変化、国際経済のパワー…

文脈の再接続

この前、たまたまTVのニュース番組を観ていたら、有名なコメディアンがある事件にふれて「努力したら報われる、夢は叶うって教育は良くないと思うんだよね。成功者なんてごくわずかでさ、成功しても色々あるし。」みたいなことで、首肯できるところがあった…

私的ベスト経済書10冊 2013

とりあえず、年の瀬なので、ブログ用に個人的に佳かった経済書を10冊ほど。一般的には選出されております、アベノミクス関係は玉石混淆なので、省きました。基本的に、グローバリゼーションがもたらす整合性と選択可塑性などについて興味深いものが多かった…

today is always future,

世界の政府総債務残高(対GDP比)ランキング http://ecodb.net/ranking/imf_ggxwdg_ngdp.html瞬雪が舞う京都で、ふと意識が遠のき、気が付けば、病院に居て、呼吸器をあてられていた。過労によるパニックらしい。すぐに治った。ずっとぼんやり夢の中で幸せな季…

Musipl(2013年寄稿纏め−1)

Musiplという音楽情報サイト(http://www.musipl.com/index.html)に寄せましたテクスト群です。年内には100本に達する中、50本目からバランサー的に色んな方を紹介してきましたが、90年代から活動をしている、ソロ・アーティストみたいな自分の中でのルール…

成熟化と慣れ

いつも言葉は曖昧で、規制が掛かっている。その規制は内側でリライトされて、外側から覗き込もうとすると蒸発してしまう、そんな儚さもあって、この1年ほどでなにが変わったのか精査していると正直、落ち込んでしまう。なにかしらの仮想敵を作って叩いて潰す…

くるり「最後のメリークリスマス」によせて

『坩堝の電圧』の「glory days」は本当に、大事に唄われた7分半の曲だった。「ばらの花」と同じ福島県いわき市薄磯海岸で撮られながらも、全く違った光景。くるり自身の轍を刻んだ幾つものオマージュ。その後のライヴでもハイライトを占める重要な意味を占め…

Snowy Emptiness

過去とは所有者の贅沢だ。過去を整頓しておくには、一軒の家を持つことが必要だが、私は自分の身体しか持たない。 (サルトル『嘔吐」より)ずっと自分を駆り立てていた衝動みたいなのはこの数年、何だったのだろうか、と思う。きっと、申し訳ないという気持…

アルパカが飼えるころには、便りを出すよ

今年の京都音楽博覧会のくるりのセット・リストは穏やかに波打つように、柔らかく胸に響いた。「Remember Me」を真ん中に置きながら、「キャメル」や「ばらの花」などのゆっくりしたテンポのものが選ばれ、定番的な「京都の大学生」や少しファストな曲を敢え…

「当たり前」を考え続ける難しさ

義務教育は、「義務」であって、ある種の強制性を帯びます。文部科学省の教育基本法第4条に記されているとおりで「国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」そして、九年の普通教育とは、「通例、全国民に共通の、一般的・基礎…

My Private Best 30 Discs 2013

今年はいつになく多くの、世界中の音楽を聴きながら、なぜか振り返ってみますと、穏やかで凪のような作品群を好んでいたような気がします。移動中や少しの作業の合間に、また、ライヴで触れる音楽にも自然とそういった優美なものを求めていたのは、何だか狂…

【REVIEW】Motohiro Nakashima『雨がやんだから、公園へ行くことにしよう』(november)

現代の「うたもの」は、いつかのジム・オルークの『ユリイカ』を経由して、トクマルシューゴ的なトイボックス・ポップと交錯するのかもしれず、『In Focus?』の初回限定盤の99種の楽器フレーズを付けたボーナスCDでの隙間を縫うように、ほんの6曲には夏の夕…

【REVIEW】Ulises Conti『Atlas』(Flau)

編集盤というと、どうにも簡易な手引書、入り口という意味が強く、ダイジェスト的になってしまうことが多い。それでも、そこからアーティストを深く知ろうとし、オリジナル作に降りてゆく契機にもなる。アルゼンチンのウリセス・コンティは汎的なアルゼンチ…

【REVIEW】Nils Frahm『Spaces』(Erased Tapes)

ハウシュカ、コリーンなどポスト・クラシカルと呼ばれる枠の中で捉えられていたアーティストの近作がポップスの造型に則ったものになっていたように、どちらかというと、現代音楽の中でもオルタナティヴなアティチュードを持った方が多いが、主に、ドイツ、…

【REVIEW】Juana Molina『Wed 21』(Crammed Discs / Hostess)

教育学者の里見実の『ラテンアメリカの新しい伝統 ―「場の文化」のために』(晶文社)にはこういう箇所がある。ラテンアメリカの新しい伝統―「場の文化」のために作者: 里見実出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1990/07メディア: 単行本この商品を含むブログを…

【REVIEW】Jensen Sportag『Stealth Of Days』(Cascine)

テクノ・ノワールとでもいえるような、深い霧の中で落ちてくる鳩たちや青い影が横切る、ジェンセン・スポータグの06年以来となる、待望のフル・レングス、セカンド・アルバムが届いた。ジェンセン・スポータグとは、オースティン・ウィルキンソン、エルヴィ…

【REVIEW】工藤 鴎芽『Blur & Fudge』

《何も怖くないさ 今でも日常に在るんだから》 (「「Biology」)悲痛でマッドな叫び声から始まり、ノイズに掻き乱されてゆく。個人的な極限の心理恐慌はこんなものなのではないことは、僕は先ほどのフィリピンでのちょっとした災厄の中、巻き込まれた際の「…

「楽園なき経済」について、またはパイロット版

来年1月からある媒体に経済コラムを打診されまして、受けようと思っているのですが、まずはパイロット版として。このコラムは自身のフィールドに基づいた上で、経済至上主義がもたらす現実をときに数式やデータを入れて、進めるものです。***「楽園なき経…

星野源「地獄でなぜ悪い」によせて

いつも窓の外の 憧れを眺めて 希望に似た花が 女のように笑うさまに 手を伸ばした―手を伸ばしたが、届いたのかは分からない。一度、病気で倒れ、復帰しての『Stranger』というアルバムに周囲ほど自身が乗ることが出来なかったのは少しサウンド以外もデコラテ…

about Musipl etc.

京都で生まれた訳でもなく、外部からふとした契機で基本は「学び処」として京都に関わることになり、付かず離れずながらも、何かしら甘やかせてくれたり、厳しくしてくれた場所になってしまいました。もう無くなったしまった景色や居なくなってしまった人た…

0.8秒と衝撃。『NEW GERMAN WAVE4』

スティーヴ・ライヒの1971年に発表した『Drumming』 はアフリカ音楽のポリリズムに影響を受けているが、前年にガーナ大学にてドラミングの研究に勤しみ、3拍子をベースにパーカッションの幾重ものトランシーな反復、ズレ、そこから旋律への回帰の中で、ミニ…

Jubilee ent

今回の僅かな四国旅行では、過ぎゆく季節の楔に変わるような、そんな日で、行き当たりばったりながらも、普段、忙しくて忘れてしまいがちな感覚を取り戻すような逆光で眩しいフロントガラス越しに見える夕陽が沈む叙情と、風景自体の優しさに気付かされた。…

「街の灯」について

まだ来月分がありますので、それも楽しんで戴ければ幸いですが、現在、上野三樹さんのサイトYUMECO RECORDSさまで今年から毎月更新で、紀行エッセイというには、大層ですが、細々と過去に私が行ったことがあります国や都市のことに絡めて、文字、想いを綴っ…

窮鼠、猫を噛めるための言語速度

《ごめんなさい、大学に行かしてもらって なんにもせずに五年! 輝いていたあの頃と悪い意味で俺は変わってない》 (「キャベツ」)***2012年度の内閣府の「若者雇用を取り巻く現状と問題」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiwa/dai7/siryou1.p…

narrow curve

今年は永くて、まだあと二ヶ月もあるんだ、という私的感覚もありますが、色んな景色を視られたような気がします。しかし、いつからか、「死」は当たり前の生の対立事項ではなくて、すぐ傍の「生ではない、何か」でしかなく、その何かを代償するという行為が…

private favorite 30songs 2013

慌ただしくなってしまう前に、今年を振り返ろうと思いながら、あまりに今年は環境変化や密度がありすぎて、取りこぼしてしまいそうなくらいなので、こういった年はおそらく、数年後、「答え」が出ていたりするので、そういう想いでいたい気がします。ひとま…

【REVIEW】FOUR TET『Beautiful Rewind』

カットアップ・ハウス(パソコンのマウスをカチカチする擬音から、クリック・ハウスともいうが)とは或る意味でコロンブスの卵のようなもので、マーク・ルクレールがアクフェン名義でリリースした02年『マイ・ウェイ』のサウンド内には、ハウス・ミュージッ…

くるり「Remember Me」によせて

くるりは、基本、ずっと会者定離を歌ってきた。それはバンドの形態としても、歌そのものとしても。ベースの詞・曲を担う岸田繁はいつも間に合わない未来について留保しようとするために、ときに、追いつかない感情にせめてもの行間を創るために、音楽の形式…

【REVIEW】NIGHTMARES ON WAX『Feelin' Good』

90年代のアフタアワーズ・ミュージック、チルアウト、もしくはブリストル経由の煙った音の香りに包まれた経験がある人ならば、ナイトメアズ・オン・ワックスの名前を想い出すことはあると思う。《Warp》の中でも最古参であり、その後、《Ninja Tune》、《Mo’…

【REVIEW】ARCTIC MONKEYS『AM』

ロンドン・オリンピックのセレモニーでのアークティック・モンキーズは捲し立てるように「I Bet You Look Good on the dancefloor」を大観衆に向けて歌い、喝采を受けていた。その光景はTV越しに観ながら、圧巻で、06年のファースト・アルバムの熱量をあらた…