2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【REVIEW】コンボピアノ-1+ヘアースタイリスティックス

まず何よりも、中原昌也の手掛けたアルバム・ジャケットが良い。ザ・ザの一時期のアルバム・アートを担っていたアンディー・ドッグ・ジョンソンのような色遣いの鮮やかさとディプレッシヴな雰囲気が収められている。しかし、内容の方はというと、最初に聴い…

慣れない遍く夜のために

夜の香りはクラブ・カルチャーもそうだが、パブのような場所での無名に近い演歌歌手やジャズ・シンガーのショーがセットされており、酔客たちの喧噪やカラオケに掻き消されることもある。日本中の、世界中の、夜の場末で消えた「Fly Me To The Moon」はどれ…

【REVIEW】Jóhann Jóhannsson『Copenhagen Dreams』

現代音楽におけるモダン・クラシカルの魅力性が大きかったのは古典と前衛のアウフヘーヴェンを一回性のアートに閉じ込めようとした試みのみならず、ソニマージュ、son(音)にimage(映像)が連動するかのような、技法とその俯瞰的な認知にあったのではない…

【REVIEW】Francesco Tristano『LONG WALK』

この『Long Walk』は、2012年の3月12日からの数日間、日本は京都でレコーディングされていた作品であり、現代における彼のマルチに開かれた知性の一端を知ることができる。ルクセンブルグに生まれたフランチェスコ・トリスターノ(http://cookiescene.jp/201…

【REVIEW】くるり「Remember me」

音楽の届けられ方や形式の再定義が迫られる峻厳な時代になりながら、アナログをメインにしたり、精緻に音質に拘ったCD、ブックレット、付随する写真集やDVDまで美学を通している姿勢や配信との鬩ぎ合い、その中で最良の音楽の届け方を模索し、希いを託す表現…

isn't it happiness ?

「幸福度」という指標を考えるたび、相対的尺度と客観出来る目と主観的に内在されてゆく絶対性を感じます。おそらく、なにもない社会でなにかを手にすることもそうですが、高度マテリアリズムが極まった今の日本でサーフする楽しみを幸福に置き換えられてい…

THE PRODIGY『THE FAT OF THE LAND』

1997年の時点、今ではトリップホップとロックのダイナミクスをプログレッシヴに織り上げたレディオヘッド『Ok Computer』、まさかの再生後の世界的ブレイクを果たしたザ・ヴァーヴ『Urban Hymns』、独特の過剰性を音像と共振せしめたビョーク『Homogenic』と…

トライアル・エラーとしての経済学

トライアル・エラーの模範例としてセクシュアル・ハラスメントに関して、「経済学」的に少し言及してみたいと思います。まず、経済学は合理性を優先します。良き消費者、生産者であるということです。そして、ここで援用するのはエラーマネジメント理論。取…

ジャンゴ・レコーズ25周年によせて

近鉄の奈良駅を降りて、奈良公園の方に出ず、ひがしむき商店街を歩き、大きな三条通りを跨ぎ、正月などによく特集されますお餅つきの早い中谷堂のすぐ隣のもちいどのセンター街を少し歩けば、小さな看板「Django Records」というものが出ています。 昨年で開…

日なたの窓、複数主体

2013年。何故か、地続きのまま難題を持ち越したまま、ルカーチ、ハーバーマスなどを読んでいました。公共圏の再構築の問題に準拠する訳ですが、労働・生産パラダイムから相互互換のパラダイムの狭間で、複数の主体と聞き手の関係性について詰めながら、経済…

モダン以降、で

まず、確認事項として「モダン」って言うのは、19世紀半ばから20世紀初頭にかけての汎的に「モダニズム」と呼ばれる運動体とリンクしています。文学畑のヴォードレール、ジョイス、建築畑ではウィーン分離派、バウハウス、アドルフ・ロース、ル・コルビュジ…