about Musipl etc.

京都で生まれた訳でもなく、外部からふとした契機で基本は「学び処」として京都に関わることになり、付かず離れずながらも、何かしら甘やかせてくれたり、厳しくしてくれた場所になってしまいました。

もう無くなったしまった景色や居なくなってしまった人たちも多いのですが、記憶とは不思議なもので、いつでもその近くを通れば、馨りたつようにすぐに浮かび上がります。産まれた場所は選べないものの、生きてゆく環境は人それぞれの数だけあり、また、どれも何かとややこしいことも美しいことも尽きないでしょうし、土佐のバーで京都に憧れに持つ方と色々話していたりしますと、誰もにとって「ここではない、どこか」はあって、でも、それは抱えている花束が造花としても、綺麗であるならば、いいのではないか、という気がします。

かく言う私もずっと焦がれて行けていない国や場所はありますが、それはまだ保存しておいてもいいのかもしれないという気になっています。ただ、行けるうちに行っておかないと、結構、なんでも褪せてしまうゆえに、景色と情景の間を年齢や経験値で差分して、考えないといけないことも多いのですが。

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前置きが長くなってしまいました。京都で旧くから独自の在り方で紆余曲折を経ながらも、今も続いていますインディーズ・レーベルのキラキラ・レコードというのがあります。

【キラキラ・レコードHP】
http://www.kirakira-record.com/

こんな世知辛い趨勢で、ひとつのことを20数年続けるというのは至極、難渋であるのは察するに余りあります。

その主宰の方であります大島さんがMusiplという音楽サイトを開かれたというのもあり、また、なかなかご協力できることがこれまで少なかったのもあり、先日、お会いしまして、色々と話をしてきました。

【Musipl HP】
http://www.musipl.com/index.html

まだまだ、これからのことや多角的にという部分ではどういう知恵を私も貸せるか模索中なのですが、サイト方針のとおりです。以下、サイトから一部、抜粋致します。

「このmusipl.comは、優れた音楽性を持ちながらもあまり注目を集めていないアーチストにスポットを当てることを目的としてスタート。(中略)音楽をやっている人は沢山いて、ネットには情報もあふれている。しかしその情報量があまりにも多すぎることで、逆にリスナーは本当に欲しい情報、アーチストに辿り着くことができずにいるというのが実際のところだろうと思っているのです。このサイトの編集に携わっているのは、音楽に詳しい人たちです。このスタッフによってかなり充実したアーチスト情報をお届けすることが可能だと思っています。しかしそれにも限界があり、「もっとこういうアーチストを紹介してくれ」というご要望にはどんどん応じていきたいと考えています。リスナーの皆さんの情報もいただきながら、このサイトが充実し、さらには実力あるミュージシャンと新しい音楽を求めているリスナーの架け橋になれたらと思っています。」

今時点では、You Tubeという今やデフォルト・メディアになったもの、そのMVやライヴ画像にレビューを添えるという形で進めているシンプルなスタイルで、私もほんの僅かですが、関わらせて戴いております。

サイトにアクセスできるのは無論、全国や多種多様な場所からですが、発信するところはどこでもいい訳ではなく、そこで培われた意識に依拠するのかな、という気がしています。

音楽やそれらを含めた文化が鳴っているうちはまだ安心というわけではなく、均質化した場所で、隠れ家を知っている人たちの知識はより重要になっていると思いますし、語り部としての人たちを受け容れて、残してゆく人たちも育ってゆくといいな、という想いは強くなってきています。

同じものに、同じように辿り着くのもいいとして、今すぐじゃなくても、5年、10年経って、それを知ることも素晴らしいことだと思いますし、「知らなくて、損をした」という情報は玉石混淆でもありますし、そんなに検索過多にならなくても、繋がるべきものは自然と繋がり、また、ほぐれていくのでしょう。

会うは別れの始めなり、というのはその実、生きることそのものを躍動させてくれます。