2013-01-01から1年間の記事一覧

things that you know about RADIOHEAD is a little bit-prelude

近く、連載としてある媒体で英語で始めますが、今回はあくまでプレ版として日本語かつフリーミアム的に。もう今はなくなった、大阪は日本橋の電気街のマンションの一室のブートレグ・ショップでレディオヘッド、前身のオン・ア・フライデイの音源を漁ってい…

今を模倣し続ける連続性と、何か

昨日は、奈良のジャンゴ・レコードさんという老舗のレコード・ショップの25周年お祝いに僭越ながら、参加させて戴きました。本来は何かとお世話になってきました手前、企画や動きをしたかったのですが、どうにも多忙が重なり、今回、ルルルルズ、SAYOCO-DAIS…

よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結ぶ

『方丈記』が原文や英訳などで今、注視、再読されていますのは無論、その書かれた背景に依拠します。鴨長明の生きました歳月の間、安元3年(1177年)の大火、治承4年(1180年)の竜巻、福原遷都、養和年間(1181年〜1182年)の飢饉、元暦2年(1185年)の大地…

YUMECO RECORDS 2012.03〜

2012年3月1日vol.4 「京都の風合と、くるりの音楽」 http://www.yumeco-records.com/archives/7632012年08月14日vol.8 「言語差を越えて、誘惑を−LILLIES AND REMAINSを巡って」 http://www.yumeco-records.com/archives/11872013年01月06日vol.11「小さなメ…

COOKIE SCENE2010.03〜2013.03

2010年3月ボブ・ディラン・ライヴ・レポート http://cookiescene.jp/2010/03/live-report-at-zepp-311thu.php#more 2010年4月サニーデイ・サービス『本日は晴天なり』 http://www.cookiescene.jp/2010/04/rose.phpフライング・ロータス『コスモグランマ』 ht…

RADWIMPS「ブリキ」によせて

以前、彼らの『絶体絶命』(http://cookiescene.jp/2011/03/radwimpsemi.php)について書いたとき、偶景(アンシダン)の感じられなさとともに、そのオブセッシヴなまでに張り詰めた内容にやや距離があった。思えば、リリース日は2011年3月9日。今から考えて…

春を前に

30代に入ってからなのかもしれず、世の中や子供たち、それは身近な甥や姪の存在も大きいのだが、未来について考えることが増えた。「自分勝手に生きてきた割に今さら都合がいいね」、とは言われるのは分かっていて、今でも、自分勝手に生きてはいるので、そ…

【REVIEW】DAVID BOWIE『The Next Day』

いわゆる、ベルリン期の彼を愛する方はいまだに多い。70年代後半にシーンを席巻しつつあったパンク、ニューウェーヴに背を向けるように、深くブライアン・イーノと潜ったサウンドの実験。先ごろ、ベックが一夜限りの豪奢な企画パフォーマンスで1977年の『ロ…

スガシカオ「アイタイ」について

事務所を離れ、独立後のスガシカオの動きは急速に着実に展開されてゆくようで、フェスやイヴェントの参加、アコースティックやバンド形式のライヴ・ツアー、SNSの多様な使い方まで含めて、これまで以上に「独り」としてのジャッジと覚悟が要所で見受けられた…

梅林の向こうに

3月に入って、多くの梅を観て、多くの考え事をして、常にモノが増えてしまいがちな自分には珍しく、整理をした。誰かを悪く言うことに慣れて、誰かを犠牲者にして当たり前に振舞うことに慣れて、仮想敵は自分なのかもしれないと振れて、いつの間にか、深い人…

くるり「ばらの花」再考―現代におけるナースリー・ライムとして

由縁もありまして、昨年の京都音楽博覧会の当日、そして、その後のライヴ・ツアー会場で売られ、今では通販でも手に取ることが出来るようになりましたくるり公式旅冊子『HOW TO GO』(http://www.quruli.net/goods/detail.php?cd_shop=136)に、短いテクスト…

【REVIEW】電気グルーヴ『人間と動物』

電気グルーヴの待望の新作として捉えられる層はおそらく、それまでの彼らをよく知り、石野卓球のDJ、外部ワークス、ピエール瀧の動きを踏まえて、対峙したのだと思う。少なくとも、近年では、08年の『J-POP』、『YELLOW』の二枚、ツアー、纏められたDVDでの…

Work Or Work NOT Out

よく聞かれることでもありますので、ベースを纏めておこうと思います。世界的に、先進国の中でも少子高齢化の状況は日本でも加速しています。 『通商白書』の2006年で、日本の合計特殊出生率は、2004年に1.29にまで低下し、総人口も2005年に減少に転じた、と…

空き地になったあとに、

馴染みにしていました理髪店や書店が3月いっぱいで閉まるということで、最近は不義理をしていたのもあり、書店はともかく、理髪店では「より髪を切る」とかは出来ないものの、花とメッセージ・カードを添えました。事情としては、近隣の大型モール内にある同…

ASIAN KUNG-FU GENERATION「今を生きて」を巡って

あの日以降、意識が変わらなかった人はいないと思う。少し前の「セカイ/系」といわれたタームの逼迫が経済的な与件で押し迫られた00年代が簡易な形で10年代の景色が「世界そのもの」としてロールオーバーしてゆく様は少し辛くもあり、そこに金融経済、天災、…

Image Me Up

ポスト・パンク由来である、ネオアコやアノラックやソフト・ロックが実は一番REBELな音楽かもしれない、とときに思う僕は、AZTEC CAMERA、EBTG、PALE FOUNTAINSやHOUSE MARTINSやORANGE JUICEなどの尖りを「体感」していたからかもしれない。パンクの直情径…

ATOMS FOR PEACE『AMOK』を前に

トム・ヨークというイコン性に準拠せず、色眼鏡なしに聴くならば、そこまで劇的で斬新な作品ではなく、フラットに受容出来る。そもそも、レディオヘッドがやや自家中毒的にエレクトロニクスとポリリズミックにグルーヴの折衷を高めていったのに比すると、自…

【REVIEW】0.8秒と衝撃。『【電子音楽の守護神】』

オマージュに対する、オマージュは確かなオリジナリティに近接する。昨年のEP「バーティカルJ.M.ヤーヤード」(http://cookiescene.jp/2012/05/08jmepact-wise-evol.php )内の「NO WAVE≒斜陽’」のMV(http://www.youtube.com/watch?v=wotG6OIfArY)における…

教養のしなやかさ

気が付いたら、2月になっていました。年末年始が雪崩れるように過ぎてゆき、考える出来事が山積し、世界情勢のうねりに埋もれ、どうしたものか、という中で自身の体調不良も重なり、長い1月だったな、と想いますが、山茶花を観たり、冬の青空越しに飛行機雲…

アレテーまで

30代半ばは忙しくて当然と言いますか、それまでの経験と社会的要請が噛み合ってきますから、少なくとも自身に投資された分だけは労働で返していかないといけない、そういう教育を受けてきたのもあり、父親が借金をしてドイツに行ったときの年齢を考えますと…

【REVIEW】コンボピアノ-1+ヘアースタイリスティックス

まず何よりも、中原昌也の手掛けたアルバム・ジャケットが良い。ザ・ザの一時期のアルバム・アートを担っていたアンディー・ドッグ・ジョンソンのような色遣いの鮮やかさとディプレッシヴな雰囲気が収められている。しかし、内容の方はというと、最初に聴い…

慣れない遍く夜のために

夜の香りはクラブ・カルチャーもそうだが、パブのような場所での無名に近い演歌歌手やジャズ・シンガーのショーがセットされており、酔客たちの喧噪やカラオケに掻き消されることもある。日本中の、世界中の、夜の場末で消えた「Fly Me To The Moon」はどれ…

【REVIEW】Jóhann Jóhannsson『Copenhagen Dreams』

現代音楽におけるモダン・クラシカルの魅力性が大きかったのは古典と前衛のアウフヘーヴェンを一回性のアートに閉じ込めようとした試みのみならず、ソニマージュ、son(音)にimage(映像)が連動するかのような、技法とその俯瞰的な認知にあったのではない…

【REVIEW】Francesco Tristano『LONG WALK』

この『Long Walk』は、2012年の3月12日からの数日間、日本は京都でレコーディングされていた作品であり、現代における彼のマルチに開かれた知性の一端を知ることができる。ルクセンブルグに生まれたフランチェスコ・トリスターノ(http://cookiescene.jp/201…

【REVIEW】くるり「Remember me」

音楽の届けられ方や形式の再定義が迫られる峻厳な時代になりながら、アナログをメインにしたり、精緻に音質に拘ったCD、ブックレット、付随する写真集やDVDまで美学を通している姿勢や配信との鬩ぎ合い、その中で最良の音楽の届け方を模索し、希いを託す表現…

isn't it happiness ?

「幸福度」という指標を考えるたび、相対的尺度と客観出来る目と主観的に内在されてゆく絶対性を感じます。おそらく、なにもない社会でなにかを手にすることもそうですが、高度マテリアリズムが極まった今の日本でサーフする楽しみを幸福に置き換えられてい…

THE PRODIGY『THE FAT OF THE LAND』

1997年の時点、今ではトリップホップとロックのダイナミクスをプログレッシヴに織り上げたレディオヘッド『Ok Computer』、まさかの再生後の世界的ブレイクを果たしたザ・ヴァーヴ『Urban Hymns』、独特の過剰性を音像と共振せしめたビョーク『Homogenic』と…

トライアル・エラーとしての経済学

トライアル・エラーの模範例としてセクシュアル・ハラスメントに関して、「経済学」的に少し言及してみたいと思います。まず、経済学は合理性を優先します。良き消費者、生産者であるということです。そして、ここで援用するのはエラーマネジメント理論。取…

ジャンゴ・レコーズ25周年によせて

近鉄の奈良駅を降りて、奈良公園の方に出ず、ひがしむき商店街を歩き、大きな三条通りを跨ぎ、正月などによく特集されますお餅つきの早い中谷堂のすぐ隣のもちいどのセンター街を少し歩けば、小さな看板「Django Records」というものが出ています。 昨年で開…

日なたの窓、複数主体

2013年。何故か、地続きのまま難題を持ち越したまま、ルカーチ、ハーバーマスなどを読んでいました。公共圏の再構築の問題に準拠する訳ですが、労働・生産パラダイムから相互互換のパラダイムの狭間で、複数の主体と聞き手の関係性について詰めながら、経済…