Work Or Work NOT Out

よく聞かれることでもありますので、ベースを纏めておこうと思います。

世界的に、先進国の中でも少子高齢化の状況は日本でも加速しています。
『通商白書』の2006年で、日本の合計特殊出生率は、2004年に1.29にまで低下し、総人口も2005年に減少に転じた、との記載があります。なお、具体的に15歳から64歳の人口を指します「生産年齢人口」と呼ばれますマスは、1996年をピークに減少に転じていることが分かります。人口構成では、65歳以上人口は2010年の国勢調査を基に推計した昨年の敬老の日を前に発表されました総務省の発表では3,074万人、つまり、3,000万人を初めて越えました。さらに、年齢層を調べますと、70歳以上の男女は2,256万人、75歳以上は1,517万人、80歳以上は893万人といったように、70歳以上、75歳以上のゾーンの膨らみも分かります。

人口動態の流れについて周知かもしれませんが、人口動態調査というものが国として為されており、厚生労働省発表の平成25年我が国の人口動態(平成23年までの動向)http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf にて明瞭に纏められています。

急速な、少子高齢化というよりは、帰結的に少子高齢化と付随した生産年齢人口の逓減性はあり、そうしますと、国内総生産GDP)のより縮小化をはやめるのみならず、社会保障や雇用に応対した経済市場が釣り合わなくなってくるのはやむを得ないところで、打ち出の小槌のように、錬金術のように生まれるお金はなく、国債、公債は先への借金ですし、今後こうあるだろう、という見込みで組み立てた過去の旧弊的なシステム、例えば、年金や医療にしましても、「だろう」の無理がきかなくなってきているのもありますが、システムの細部を修整しましても、全体の輪郭は変えられません。

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また、併せて、家計貯蓄率についても考えないといけません。

家計貯蓄率とは内閣府の国民経済計算(SNA)が定義するところ、家計貯蓄率=家計貯蓄÷(家計可処分所得+年金基金年金準備金変動(受け取り))を示します。なお、家計貯蓄=家計可処分所得+年金基金年金準備金変動(受け取り)−家計最終支出。家計可処分所得とは、収入から税金と社会保険料を引いたもので、つまり、家計が家計として自由に使える金額です。こういったものの額をベースにOECD経済協力開発機構)の資料を紐解き、あまたの見解がなされています。

参考)図録主要国の家計貯蓄率の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4520.html

現状、日本の個人金融資産は約1,500兆円とも言われ、その半分程度は預貯金ですが、少しずつ預貯金の取り崩しが出てきますと、国債に影響を与え、国債への影響は金融機機関が国債を購入するための力を落とします。国債は消化しないといけないものですから、金融経済から実体経済により響いてくることになります。

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そして、国内総生産GDP労働生産性と関係性に準拠します。労働生産性」とは物的資本、人的資本、天然資源、技術知識によって決定されます。物的資本が多いほど、人的資本が高いほど、天然資源が豊富なほど、技術知識が高いほど、労働生産性は高くなります。経済の教養レベルでいいましたら、生産要素投入量と産出量の関係を定式化した際の生産関数を考えれば早いかもしれません。

労働生産性少子高齢化を結び付け、さらに、昨今はアベノミクスと呼ばれています流れにのり、グローバル化、いわば、国際的に壁を無くし、アウトソーシング、一部の海外分業ではなく、もっと、自由化を推し進めるべきだというもっともらしい「正論」も行き交うようになってきましたが、反面、国内では1970年代の団塊ジュニアと呼ばれます層が高齢の親に頼るケースも出てきています。つまり、正社員として雇用されて、積極的な転職ではなく、整理解雇ということが起きた際の受け皿が用意されていないということもありますが、既に国内の雇用体系そのものが変化しているのもあり、ニート、ワーキング・プアという言葉は若年層だけを示す訳ではなくなってきました。

そこで、少子高齢化に国際的な自由化を結い、また、出生率などを鑑みますと、決定要因ではなく、題目の要因としては違うところにあるとも言えます。仕事があり、子供を、家を、次に次にという考え、と、まず、生きることそのもので瀬戸際にあるという人たちの乖離は世代間や生まれた時代の差異もありますが、掬い上げるべきは集体的な不安への耐度ではないとも思いますし、現役ではない層は仕切りにイノベイティヴやグローバルという言葉で私含めた、これからの世代を鼓舞せしめますが、その前に、窮状にある経済と心理的与件の問題、「良い時代」を生きた人たちの可処分所得に頼らざるを得ないマーケットそのものの再考も要るような気がしています。

2020年の日本人―人口減少時代をどう生きる

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