トライアル・エラーとしての経済学

トライアル・エラーの模範例としてセクシュアル・ハラスメントに関して、「経済学」的に少し言及してみたいと思います。

まず、経済学は合理性を優先します。良き消費者、生産者であるということです。そして、ここで援用するのはエラーマネジメント理論。

取り巻く環境にも依拠しますが、人間は進化心理学の文脈上で、二つの過ちを犯します。まず、「正しくないものを正しい」とみなす第一種の誤り。「逆に正しいものを、正しくない」とみなす第二種の誤り。それはコスト・パフォーマンスにもよるものの、誰かの喧嘩の際第三者を呼ばない誤り(第二種の誤り)、誰も喧嘩していないのに勝手に第三者を呼ぶ誤り(第一種の誤り)だと、そう、前者の方が適切になります。そういうコスト・バランスを鑑みて試算する訳なのですが、そもそも進化心理学とは、「人は合理的ではなく適応的に行動する」というのを是とし、行動経済学進化心理学の融合により「適応合理性」が人間の行動を決めるという導線を敷けるようになってきた背景があります。となりますと、さて、進化生物学では利益とは適応度であり、子孫の数でもあると言えます。経済学的に包むと、利得の問題。

男性は子孫を多く残す為に数多くの相手を捜し求め、ところが、女性は妊娠・子育てなど大変な負担があるゆえ、自分と自分の子供とを養育していってくれる意思の高い男性を択ぶ必要性があります。


となりますと、男性は誤ったものでも正しい、と思ってしまう第一種のケースが多く、女性は本気の男性を見逃すよりもその気のない男性に騙されるよりはよし、とする第二種の誤りをするほうが良いとなります。では、この一種と二種の誤りが判断の差異を産み、結果的にセクシュアル・ハラスメントや訴訟に運ばれる場合が多くなります。

どちらも生物として「進化心理学」として切り取った時に、エラー同士で弾き合っている訳です。

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辺境とエラー解析、その間を行き来する「真っ当な合理性」。
人間はその合理性を単・人に落としこんで、時折マトリックスを描くのですが、理論的に「綺麗」でもそんなに「合理的でもない」のがその実でもあります。