my private best books in economics 10 pt.1 2014
今年の経済書、私的10選ほど。今年と言いましても、以前に出ていまして邦訳されたものも相変わらずありますが、基本的に貨幣論、労働論の再定義やグローバリゼーション、キャピタリズムに対して新しい視角をもたらすものに魅かれました。
貨幣という謎 金(きん)と日銀券とビットコイン (NHK出版新書)
- 作者: 西部忠
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/05/08
- メディア: 新書
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9,『21世紀の貨幣論』(フェリックス・マーティン:著、東洋経済新報社)
- 作者: フェリックスマーティン,Felix Martin,遠藤真美
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/09/26
- メディア: 単行本
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貨幣には大きく、モノとしての価値が内在化しています「貨幣商品説」と、政府、共同体の規定の中で意味が発現します「貨幣法制説」といいましたものが唱えられてきましたが、価値の代替性でいえば、「貨幣」とは昨今の仮想通貨など含めまして、皆が寧ろ、汎的に想定され得ます領域内での暗黙の取決めを越えてきている要素を考えないといけない局面にあると思います。
自国、他国通貨価値の不信からビット・コイン、P2Pへ巡りいっている人たちの流れは確実に出てきていますし、NATION(中心部)に集約し、流通量を管理し、市場を、という既存モデルはより過渡性を増している中で、どこまで「貨幣」というあらかじめ抽象性を持つものが再考されてゆくのか、より大きい意味を持ってくると思います。ただでさえ、モノの価値としての、規定内で交換可能な何かとして貨幣の内実が変容してきますだけに。
- 作者: 猪木武徳
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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消費者実感に基づいた景気回復を、という大文字がどことなくそれこそ生活実感から乖離しながら、働く行為性への梃入れがよりなされていくとなりますと、自身にとっての勤労投下でき得る対象はより多様化してゆく分だけ、“こういった働き方であるべき”、みたいなステロタイプな考えは漂白される気がします。労働に依存しないと、社会から疎外されしまう、そんなオブセッションは倒錯的といえ、本当は社会内で生きるから、労働するわけで、その捻じれの中で、“暮らしを営む“本意を求めることもいるのかもしれません。
7,『The Fix―依存症ビジネス』(デイミアン・トンプソン著、ダイヤモンド社)
- 作者: デイミアン・トンプソン
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2014/10/20
- メディア: Kindle版
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アルコールやギャンブル依存症となりますと、響きが悪いものの、悪しきにつけ何かに依存することで、並列して他のフィールドを“視なくて済める”、それゆえに保てる心身バランス、生活均衡とはある程度、あります。この書では、色んな題材をベースに依存症とそこに関連しますビジネス・モデルを平易に描いていきますし、今更というような箇所も多いものの、前述の”労働への依存”は”ワーカホリック”という言葉に置換しますと、労働によって何かしらフィードバックを得ている訳で、一概に何に依存するのが是か非かではなく、社会規則を破るのはご法度としましても、健康的に依存してゆく中で生まれる経済とは何を幸せにしてゆくのか、何を犠牲にしてゆくのか、また、共犯言語で先走ってゆく結果、壊れるのは何なのか、改めて目の前の自身の耽溺するものに付随します幾つかの条件性を可視化してみるのもいいかもしれません。
要らないものに、要らないお金、時間を払っていることが多いなんてアフォリズムを越えて、逆説的に個々に要るものに、必要な時間を投資していないかも、という気付きもあるかもしれず。
6,『ミクロ経済学の力』(神取道宏、日本評論社)
- 作者: 神取道宏
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本
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何でも学修していくほどに、本質は別のところにあり、短絡的にこれが答えで解決はこうであるというのは“ない”ということがわかってゆきます。例えば、今では当たり前になりました法律を用いたTVプログラムも「法」という規範の下に、バラバラの言語体系を持っている人たちの齟齬を埋め立てる、そんなところもありますが、「法」が万能なのか、など言い出しますと、言を俟たないでしょう。そういう意味ではこの書は経済学の教科書的な内容ですが、何となく新聞やニュースの経済面を見ていてもピンとこない人たちに届くような気がします。
例えば、英語に問わず、異言語を学ぼうとした際に初級者用は沢山ありますが、そこをクリアーして、丁度、中間くらいの指南書がない経験をした人は居ると思います。その次が、いきなり上級編か、基礎をもう一度やり直しましょう、みたいなものばかりで。経済学も入門書を読んでいますと、最初は“読み物”としましても面白いものの、途中から数式、関数、ややこしい専門用語が出てきて頓挫してしまう―それはある意味で、止むを得ない事象でもありますが、多少はこういった書籍を参照に自身の中で経済学的な思考を固めますと、これまで曖昧にしていたものが関係、力学論としてわかるところもあると思います。