2013年上半期私的5Songs

2013年上半期ベストの時期ということで、豊作だったのは紛うことないですが、私にとってはよりコンセプチュアルにかつ、洗練化したものに意識が向かった気がします。

先行配信やフリーダウンロードで「いい曲」がフックされましても、アルバム総体は微妙だったり、その逆も然りで、ということで、語り尽くされない行間に鳴った音楽が実は美しかったのかもしれないという意味では、そういう5曲を今回は。

アルバムは、全くセレクトが変わると思います。

あくまで個人的見地で、聴いていて、生活が静かに潤った、そんなところがありました。

【5 Songs】


1,IRON&WINE「The Desert Babbler」

彼の新作の中でも特にスイートなポップ。バカラック〜ベッチャーまでを跨ぎながら、コーラス・ワークは60年代風で、サム・ビームのボーカルはカーティスのように澄んでいて、時代感覚を忘れるような一曲でした。カンタベリー系の角の矯められたジャジーサウンド、麗しい旋律にも胸動かされました。

2,CZECHO NO REPUBLIC「Festival」

基本、こういった姿勢でのフェス・ソングを日本語で軽やかに出せるというのが嬉しくも、バンド組織体として変容しながらも、底地は変わらない、そんな頼もしさを感じます。重々しさや一瞬で消化されてしまうようなものが多い中で、彼らの隙間を活かし、しかし、リズムや音色がどこかフリーキーな様は面白いな、と思います。

3,DEERHUNTER「Pensacola」

アルバムそのものも素晴らしかったのですが、骨身のむき出しのガレージ・ロックでヘナヘナでペイヴメントを彷彿とさえさせてしまうこの不安定な崩れそうで、崩れない展開とブラッドフォードのニヒルなボーカルが映えた曲は唸らされました。ふと発せられます「Let's go」って言葉も響きました。

4,AUFGANG「Balkanik」

曲単位で、ようやく「Soner」を越えてくるような新しい名刺代わりになるようなフロア・チューンだという気がします。ピアノの連弾とビートの重なり、エレクトロニクスの位相からプログレッシヴに盛り上げてゆくという意味で、ディープ・ミニマル的であるともいえ、トリスターノのコンポーズ能力も表層的ではなくなってきたというひとつの証左ではないでしょうか。ライヴでもインプロ含めて、非常に自在な感じで良いです。

5,THESE NEW PURITANS「Organ Eternal」

ミニマルにしてポスト・クラシカルな一曲としてはこれでした。レコードでリカットの上、リミックスやエクステンディッド・ヴァージョンなど聴いてみたいです。