YUMECO RECORDSについて

今さらのことながら、少し。YUMECO RECORDSに関わらせて戴くことになったのは、蓋然的な流れでもありまして、音楽ジャーナリストとして、多方面で御活躍されています上野三樹さん(@uenomiki)の文章や活動には常々、その生命力を感じていたことがあり、その方が主宰の下で展開されたということで、私にとっては微力でも、何か関われましたら、という想いで、最初はくるりの記事(http://www.yumeco-records.com/archives/763)をお送りしましたところから由縁があります。

この記事はUP当時よりも、その後、なんだか奇妙な展開をしてゆくことになるのですが。

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エゴ・サーチも、なにもしても把握済みですので、自身のような者は「象牙の塔に戻れ」と言われ続けてきましたのはデフォルトの話です。これまでもややこしいことがあれば、公的機関や知己の法曹家などに頼んできました。ただ、別に、私じゃなくてもいいのだとも思えるようになってからは楽になりました。筍が雨上がりにふと頭を出すように、目立ってきたら、「気になる」―そういうものかもしれないこと。

ノブレス・オブリージュ、つまりは、無償的文化投資活動はこの数年、多方面で行なってきました。むろん、経済的な「何か」が生み出されることは大切です。生きるためには霞は食べられません。でも、お金って燃えるんですよね。こういうことを言ってしまいますと、酷なのですが、在る新興国の或る地域で多量の現地紙幣が燃やされているのを目にしたことがあります。そのときはハイパーインフレと言ってもいいのでしょうか、もはや、大束の紙幣を持っていっても、果物の一つ、二つしか買えないそんな現状がありまして、経済「学」というのはそこに貨幣経済論、金融経済論も巻き込みますが、おそらく、共通に通底していますものがなくなれば、貨幣とは言語でなくなる、そんな気もしているのです。

では、何が通じるのか、といえば、亡きマイケル・ジャクソンのあの曲がいいよね、とか、そういうことだったりする訳です。

あるとき、想わぬ異国のトラブルで命の危険にさらされました状況で、集(たか)られたお金は今の自身からは大きかったかもしれないですが、でも、今は生きていたら、もう「問題はない」と思っています。

昨年、12月に中村一義さんの日本武道館公演を兼ねて東京に出た際、新宿で上野さんと初めてお会いしました。鮮明に憶えているのですが、クレバーな方だな、ということと、同時にシビアな審美眼が自身と同じように持っているということを感じました。その後、ライヴを観に行かれるとのことで、スイーツと珈琲で、私はビールを戴きながらも、色んな話をしました。

そこで、少し話題に持ち出しました中で、七尾旅人さんの記事(http://www.yumeco-records.com/archives/1543)も形になりました。今は四回目になりましたが、「街の灯」(http://www.yumeco-records.com/archives/3802)という連載のぼんやりとした輪郭もその時の対話がベースになっています。この連載は旅をベースにしながら、回数を重ねるごとになぜか「故郷」や「故郷の喪失」が可視化出来てくる、そんな気もしています。最近では、夢子会を始め、素敵な執筆陣の方々もあり、何かしらひとつの空気感が出てきているような気もします。もっと華やかになってゆくのかもしれません。

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僭越ながら、関わらせて戴いています音楽メディアCOOKIE SCENEhttp://cookiescene.jp/)や当BLOGなどのイメージから頑迷固陋なややこしい人間として印象捉えられているのは確かで、実は、ややこしい人間なのは認知済みなのですが、今の混沌とした瀬で楽しいことも溢れている訳で、その楽しいことはそのまま楽しもうというのも大切だという気がします。

天変地異から人災、暗がりを縫うニュース、もうそれらはどうやっても尽きないでしょうし、いつ巻き込まれるのが自分じゃなくても、近しい誰かかもしれない、というのは言わずもがなでしょう。

そのときに、目を見据えて、涙を流さないでいられるかどうか、
現実を焼き付けられるかどうかなのだとも想います。逃げ続けていますと、おそらく、思考がそうなります。

今、何かを悪く言う風潮に乗らず、風穴を開ける期待値を信じているのは実のところ、本音です。

【YUMECO RECORDS】
http://www.yumeco-records.com/