idlenesslaziness for nameless feeling a chill

アメリカ大統領選挙に関しては、反動の反動とも言えるでしょうか、変化よりも不安定な現状を―順当な「再選」という結果を残しましたが、この4年間で深まった課題は持ち越されたのみならず、更に積み上がった気も致します。雇用情勢が改善、上向きに転じたという根因の背景と、中間層と言われる層へのオバマ氏の支持のアティチュードは捻じれており、年内に民主・共和党は溝を越え、新しい法律策定に向かわないと、中間所得層への支援減税が打ち切りになってしまうのみならず、予算がカットされてしまうディレンマがあります。いわゆる、「財政の崖」の時期の問題。

二点目に、オバマ政権で今回の対立候補であるロムニー氏の追求もあったように、経済施策で弱いところは看過出来ません。QE3後、引き続き金融緩和の政策は取られ得る可能性は高まった分だけ、金融緩和が経済面を支えるというイロニカルな事実も生まれます。財政出動の猶予がもたらされないために。ドル安に関しても当面は響く要素が強くなってきました。となりますと、対・ドルに対して、ユーロ、人民元、円などの在り方がより問われてくるのは自明になってくると思います。市場の反応はオバマ再選という一瞬の不透明感が消えた安堵よりもすぐに、「その後」への予期不安へとシフトします。

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翻りますに、日本を考えてみます。10月30日に日銀が金融緩和とともに、無制限・低利の貸し出し制度は円高の是正と、産業分野への支援が大きいという見方もありますが、金融機関との折衝も軸になってきます。この貸出制度では、金融機関が貸し出しを増やした際に、日銀が0.1%の金利で最長で4年の資金を総額に上限を設けず、供給するというもので、成長ありきの融資ではない緩さが備わってきます。また、そういった金融タームよりも特例公債を含めた政治ゲームが実体経済に影響をどこまで及ぼすか、予算や税収/課税、雇用のネットなどあまたの建直しを求められる案件への視角はシビアなままです。

中国は、景況の減速フェイズに入ったという見方が強くなっていますが、経済面で押し出していたこの10年から政情不安とともに、根幹が揺れる可能性が高く、中東の政情不安もそうですが、いくつかの「春」やそうではないものを指す何かと従来制度の駆引きは険しくなる可能性が高まってもきています。

今回のアメリカ総選挙の結果のみならず、課題群は先延ばしになったまま、というよりも、中空に浮いたまま、2012年はモラトリアムでさえなかったということを示す事柄も多く、不透明な世界情勢はまだまだ澄む訳ではないというのが当面だという気がします。