rock the joint

ロックの誕生は?と問われると、大概が「1954年7月5日にエルヴィス・プレスリーがサン・スタジオで初レコーディングした時」と云われるケースが多いですが、これはティピカルな白人史観に依拠します。

まず、「エルヴィス以前」のR&B(リズム・アンド・ブルーズ)は黒人音楽の「ほぼ総て」を指していましたし、宗教性を孕んだゴスペル以外はそれでありました。そして、1947年でしょうか、「GOOD ROCKIN' TONIGHT」という4拍子の曲が売れまして、2、4拍目をクラップで強調する音構造を創成した訳ですが、このフォーマットは今も可能で、基本的にロックンロールのビートのプロトタイプはこの雰囲気な訳です。

何故に、2、4拍かといいますと身体リズムに訴えかけて易くてスイングし易いから、というのもあるのですが、細かい身体反応論は別項で設けるとしまして、これを「レイス・ミュージック」として白人層は回収していながらも、フィラデルフィアのDJのアラン・フリードが線を跨いで、自分のラジオ番組でパワースピンし、それらを「ロックンロール」と名称化した訳です。

端的に、52年のビル・ヘイリー&ザ・コメッツ「ロック・ザ・ジョイント」にインスパイアーされたというのが大きいでしょうが、ビル・ヘイリーってでも、白人なのですね。となりますと、レイスと商業性の中を彷徨っていた時期の刹那的な熱がロックンロールとも云えなくもなくて、やはりそうなってきますと、大衆論的には、やはりエルヴィスのあのインパクトこそが大きかった訳で、前史はデリートされつつあるのも仕方ないものの、RCA移籍のエルヴィスの在り方、そして、その後、ジェリー・リー・ルイス、ボ・ディドリー、リトル・リチャード、チャック・ベリーとかに継がれる形でロックンロールはか細くも巷間へと流布していったのですが、最終的には黒人文化への目配せ如何で、まだまだ粗野で外れた者達の戯れだったことには変わりはありません。