2012 my favorite 10 songs for this blog.

また、これから別次にも書いていくと思いますが、このブログとして、2012年に個人的に魅かれた10曲でも。

・Nina Becker & Marcero Callado「Futuro
踊ってばかりの国シャンソン歌手」
・The Babies「Get Lost」
・Mono「Unseen Harbor」
・Hilary Hahn & Hauschka「Rift」
・Lillies And Remains「Final Cut」
・Josephine Foster「Panorama Wide」
・Wax Poetic「No Escape」
Efterklang「Between the Walls」
Shugo Tokumaru「Video Killed The Radio Star」

並べてみますと、とてもアフタアワーズ的なものが揃いながら、エレガンスがそこにどう結び目を見出してきたか、が重要だったのかな、と思います。

粗製濫造される音楽の中で、着実にキャリアを重ねてきた人たちの曲が多くなったのも必然といいましょうか、また、気鋭の方々も汎的なスノビズムへどういった距離感を持っていたかどうか、が大きかった気がします。カルチャーの斜陽が謳われながら、訴求力を増していたと思える音楽は少なからずあり、それは既存のシーンではどこか蚊帳の外に置かれていた人たちでした。例えば、ヴィクトル・ユゴーを担保に、ミシェル・フーコーを後景に、舵を取った荒海には難破船があり、ノーマンズ・ランドへコンパスを合わせるような。

新たなMPBの芽吹きが出てきた中のニーナ・ベケールの躍進は欠かせませんでした。ブルックリン・シーンも緩やかに波を変えていき、Grizzly Bear、Dirty Projecters辺りのエントロピーが伝播しきった中におけるノマドジーの機運に対してのThe Babies。Jesephine Fosterは紛れもなく、世界的にも称賛に値する一作を紡ぎ上げ、フォークロアからフリーフォークまでの接線を敷いたと思います。

日本では明らかな始まりを告げる音楽、リ・スタートを迎えるもの、更にキャリアを重ねてきた円熟が見えるものとして、Lillies And Remainsは完全に彼らのこれまでのイメージを越えてくるだけではなく、エレガンスが昇華されたものになっていたと感じましたし、サーカズム以上に異様な化け方をしてゆく踊ってばかりの国は貴重な音だと感覚下に響きました。もう、「無為」や「非・意味」で何かを括る枠はない気がする瀬ゆえに。

モダン・クラシカルとしては、やはりハウシュカとヒラリー・ハーンで極点を迎えた気がしながらも、クラシカルな風合を備えた静謐を緻密に音に編み込む作品では、Monoはスロウ・コアともいえない独自の美しい世界観を作り上げてきました。Wax Poetic、Efterklangは盤石でした。