my private best discs 30 2014 pt.6

今年は音楽的に大きなトピックがなかった、または、巷間で騒がれているものは底上げを強いられているようなものが多かった、なんてエクスキューズが行き交う2014年のシーンとも一部では言われていますものの、例えば、異分野ながら、流行語大賞のみならず、ひとつのイコンになりました東村山からの日本エレキテル連合とは、アンダーグラウンドでアシッドなネタを得意としていましたお笑いコンビでした。ダッチワイフと歳を重ねた年配の男性がもたらすシュールな破綻劇の部分漂白が受容される瀬。思えば、彼女たちが敬愛します志村けんがモティーフとする人物や題材は今の時代では放送倫理規定的に危ういものばかりです。でも、ああいう人たちはいて、笑えるという感覚が大事なのであって、テロップと事後規制、編集で“遊び”がなくなっていくような状況で、雄弁に語り、颯爽と海外へ遊説します日本のトップがもたらした政策とは“速度”以外の部分で、置いていかれる感覚をおぼえました人も多いとも察します。

ここであげます5枚の中には、活動停止をステイトメントしたグループも居ます。それでも、今年に於いて肝要な意味を持っていたと思います。

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10,昆虫キッズ『TOPIA』EP

TOPIA 【完全初回限定生産】

TOPIA 【完全初回限定生産】

来年1月のライヴで活動停止しますが、『BLUE GHOST』でもこんなに恰好良いバンドだったかな、と思いつつ、振り返ってみながら、このEPを聴いていましたら、やはりネジの外れた部分が青さと拮抗したグロテスクで乾いたセンチメントが好きだったのだな、と再確認するところがあり、新しい世代のSSWが内包しています幻惑性なども例えば、「象の街」には見えますし、鋭利的なニューウェーブ直系の「WIDE」と並び、ドアーズのような温度を持った、太陽で焦がされる3分ほどの「楽しい時間」での幕引きは彼ららしいといえども、「サマータイマー」、「非常灯に照らされて」、「いつか誰とも会わない日々を」といった曲があったように、外れし者たちのステップをオブセッシヴなほどに希求してきたところを鑑みますと、駆け抜ける時間の速さに感慨が募ります。



9,ROYKSOPP『The Inevitable Band』

The Inevitable End

The Inevitable End

ステイトメントを読む限り、ロイクソップとしては最後のオリジナル・アルバム。彼ら一流の浮遊感、アンビエンス、音響美より、メッセージ性が強くなった分だけ、妙にサイケな響きを孕んでいたり、これまでになく静謐も目立つ内容で、遠くに来たと思えながらも、タイムレスなものを拒む姿勢は2014年に聴けて良かった気がします。もはや、クラシックになりました「Poor Leno」が世界中で自身の耳に入ってくるたび、彼らの異形・特異さとはそれも一部ではあるものの、それだけではないということを改めて、今作でも。不穏な瀬の、不穏で真っ当なサウンドトラック。



8,CELER『Sky Limits』

Sky Limits

Sky Limits

東京在住のウィル・ロングのプロジェクトの最新作ですが、アコースマティック・ミュージック、優美なアンビエント・ミュージックが展開されます。その中に、新幹線のホームでの音、京都の街の雑踏などフィールド・レコーディングされました生活音が加わってくることにより、小旅行に連れていってくれるような柔和さは気忙しく、機械的な時間にフィットしました。

7,ZAZ『Paris』

PARIS

PARIS


6,machinone『Tokyo』

Tokyo

Tokyo

この二枚は視角は違いながらも、タイトルにそのまま付されていますように、メルティング・ポットとなる”大きな象徴都市”に対してのある種の音楽としての、気概を感じました。