005 『入門クラウドファンディング スタートアップ』(山本 純子:著 日本実業出版社 2014年)

入門クラウドファンディング

入門クラウドファンディング

クラウドファンディングというシステムを使って、幾つかの企画を考えている会議に参加しながら、これは「企画」自体ではなく、その後のポートフォリオマトリックス、メリット/デメリット、参加、寄与して戴いた方々へのフィードバック、その企画によってどういった貢献が行なえたか、などセグメントして考えないといけないというのもあり、結局のところ、地方自治体、メディアの方、企業、見識者、法曹家から財務関係への専門家など“チーム”は膨れ上がってしまった。

いつか、マイクロファイナンスのことで思うことがあった。発想としては貧困緩和と収益性の安定確保という題目の下で進んでいったが、肥大化の過程で、悪しき第三者の参入や“善意”だけでは形成されない限界が露呈してきた。セーフティーネットでもそうだが、まずは誰かの善意が発端となる。

クラウドファンディングでは、パトロン、要は不特定多数の資金主の心持ちによってプロジェクトが動き出す。

なぜ、でも、そういった方式でプロジェクトを動かさないといけないか、というと、産官学連携では本年度なり、決められている予算枠は「限られている」。だから、結果、先送りになる。会議室を、図書館を、多機能施設を、多くの声は各機関に届けられるが、そう簡単に造成できない。特に文化的事業に割かれる予算は厳しくなるばかりで、スポットライトのあたっているもの以外のところで、山積みされている企画書の束は尽きない。それを掘り起こすのではなく、しっかりとしたプロセスを経て、価値と対効果を示すかは難しい。目に見える相手に、目に見えるプレゼンテーションをしないといけないことは結果、OKかそうじゃないかがわかる。ただし、クラウドファンディングで資金を集める場合、企画書の内容からその後のフォローまでインヴィジブルなところもあるが、徹底的に「視える化」させないといけない。

そういうことを考えながら、時代の趨勢は顔の見えない人たちに向けて、「視える化」をはかってゆくことになるのだな、とつくづく思う。